野球を始めた君に贈る言葉
君は最近野球を始めたね
小学2年生の君は、地元の小さな少年野球チームに入った
素晴らし事だよ
自分の意思で、新たな集団の一員になることは
特に友達がチームにいるわけではなく
飛び込みでチームに入るその勇気は、自分も見習わなければならない
そんな息子を受け入れてくれたチームにも感謝している
野球人口減少もあり、チームもあまり人数がいない事もあり、すんなり入団できた
君にしっかり伝えたい事がある
君の遺伝子
君には特別な遺伝子が流れている
君のおじいちゃんはプロ野球選手だったんだよ
まだよくわからないかもしれないけど、凄い選手だったんだ
去年のおじいちゃんのお葬式でお別れの時も、たくさん野球の知り合いが来てた
あの、お葬式の後からだよね
少年野球チームに入る事になったのは
おじいちゃんに何か言われたのかな?
君のバットを握る姿や、ちょっとしたスイングに才能を感じる
どこまで上に行けるかはわからないけど、才能はあるよ
野球は楽しむスポーツか・・・
でも今、君のお父さんは君にどれくらい教えれば良いか悩んでる
それは野球という競技が、辛く険しく厳しい競技という事を知っているからだ
『野球は楽しいスポーツだ』
と語る人は、本当に厳しい環境でやってきていない
少年野球チームのコーチ達も、感謝はしているし、頭は下がる思いだが、
指導者という目線で見ると、全く教えるレベルにはない
そういった目線でこれからも見ていくのは良くないと思っている
そして何より、君に対しての野球を教え方も悩んでいる
お父さんにとって、野球はあまりにも神聖すぎる競技であるからだ
野球はツラい競技
野球は妥協の許さない競技
相手のスキを突き勝利を奪い獲る競技
野球は喧嘩のようにやられる前にやれ、やられたらやり返せ
野球は本来こうあるべき
としか、野球では教わらなかったんだって
自分の育った所属チームがそういった野球チームだったみたい
だからそういったマインドを君に押し付けてしまわないかと、自分自身が心配している
素振りひとつにしても
『こうやる事が正しい』
『こうやって打て』
『なんでできないんだ』
と、一方的に教えてしまいそうだ
野球を嫌いになってほしくない
お父さんお母さんは、君に野球を嫌いになってほしくない
プロ野球選手になんか、ならなくても良いから
楽しくやってほしい
お父さんは今や草野球もやっていない
なぜか
草野球には試合に至る真剣なプロセスが無いからだ
真剣に時間をかけて練習して、準備して、それをチーム全体が同じ思いで試合に望むからこそ、喜びや悔しさ、充実が生まれる
それが無ければ自分には草野球は価値が無いと思っている
どうしても真剣さや、厳しさの中に充実を求めてしまう
君にこうはなってほしくないんだ
本来野球は楽しく、遊びのように純粋に楽しむ方が幸せなんだ
お父さんのように、勝負の世界での緊張感や冷や汗、胃が痛くなるようなところにしか、生きがいを感じなれないような野球のやり方はよくないとお父さんは思ってる
もっと心にゆとりをもって、純粋に打った、勝った、負けたで楽しんでほしい
でも、それでも君が真剣に野球を教えてほしい時は教えたいみたい
それは恐らく厳しい道だよ
手のひらの皮はめ繰り上がり、バットは血のりが付く
毎日体が動かなくなるくらいの補強トレーニング
脅すつもりは全くないが、真剣にやるという事はそういう事だよ。
お父さんは野球を引退するとき、激しい燃え尽き症候群だった
そうなれば、先の人生も刺激ばかり求める人生になってしまうかもしれない
お父さんの周りにも、野球で燃え尽き、定職に付くモチベーションを失った者や、悪の道に走った者もたくさん見てきた
野球という小さな世界で燃え尽きてしまうと、外の世界に出てこれないんだ
純粋に楽しんでほしい
君に特別な能力が例えあったとしても、純粋に野球を楽しむことをしてほしい
それで、結果が伴えば本物だし、最後まで楽しめるだろう
今や、昔の野球で養われた強烈な上下関係も通用しない時代だ
最低限の礼節は必要だが、へたな気遣いより、実力が求められている時代だ
野球だけがスポーツではないし、野球だけが人間形成を養うわけではない
だから君には野球は好きになって貰いたいが、好きな事をやって、本当に好きな事を自分で見つけてほしい
親から与えられるものではなく、自分で好きなモノを選択して育ってほしい

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